それでも生きていく為に・・・

音楽、料理、小説、時々、創価学会

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恋愛と信仰②

①からの続き。

 彼女は大の学会嫌いだった。僕との別れの原因の一つであるかもしれない。そして次に付き合うことになる男を僕は学会員にさせてしまった。不思議なものである。
結婚の報告の後、彼は僕に相談してきた。
「ご本尊は返すのが怖いかもしれない。辞める気はない。しかしA(彼女)が学会嫌いだから・・・結婚・・・どうしよう」

僕はただ一つのみを考えることにした。彼がきちんとご本尊を御安置出来ることを。それが彼らの結婚にどう影響するかなんて当時の僕にはどうでもよかった。全国幹部の自宅まで彼と一緒に指導を受けに行ったりもした。幹部は、ご本尊をお巻きしていることと返却させることの怖さを語ってくれた。

しばらくして彼は電話でこう言った。そんなことを平気で言う彼の言葉を聞いて僕はため息をつき、しばらく静観することにしした。祈ることのみだけにしたのだ。

「ご本尊は御安置出来ないし、それを持って結婚は出来ないかもしれない。でも学会を辞める気はない。怖いからだ。だから上手くその辺りを誤魔化して折り合いをつけて両立出来ないものかな?」

実は僕と、僕を折伏したC君とB君の3人は同級生である。だからその辺りのことはC君も知っていた。いつになっても結婚式の日取りなどの具体的な話が風の噂で聞こえてこない状況の中で僕はC君に言った。僕の勝手なひらめきだった。
僕は断言してこう言った。「アイツ(B)は・・・結婚しないよ」
「えつ? 何? 婚約破棄になったの?」と彼は訊いた。
「いや、違う。そんな話は聞いていないよ。でもさ・・・なんとく分かるんだ。ご本尊を御安置もせず、でも学会も辞めずに上手く誤魔化して結婚しようとしている人間が幸せになれる訳ないじゃないか」

その通り、彼はしばらくして体調を崩して入院し、仕事上のパートナーに裏切られ、逃げられたのだ。結婚も・・・・しなかった。

その当時殆ど未活動家だった僕は少しして副部長になって組織に戻り、数年間の未活動家時代を埋める様に狂った様に学会活動し、彼のあの一言で空いた心の穴を埋める様に一心不乱に闘った。


 そして、とうとう先月のことである。8年ぶりに僕はA(彼女)に勇気を持って電話をした。(選挙において)重点区に住むAにF取り行こうと決めたからだ。声を聞くのはあの最後の鎌倉以来である。電話にすぐに彼女は出てくれ、とても元気だった。「これから行くよ」
部員さんと一緒に車で彼女の家の近くに行き、久しぶりに再会した。何も変わっていなかった。変わったのは年月だけだった。そう、僕らはもう35歳になっていたのだ。


 そして二週間後に僕らは二人で飲みに行った。8年間、お互いに何があったかを時間を惜しむ様に語り合った。同時に、学会が原因でなく根本的な問題でBとの結婚が消滅してたことも知った。彼は「学会を辞めた」と当時彼女に嘘をついたらしいことも分かった。

鎌倉に行こう! 

最後に僕らは自然とそんな話になっていた。どちらから切り出したかは覚えていない。

『少しだけ時間が経ってしまったが、先月に鎌倉にふらりと遊びに行ってきた』と僕は冒頭に書いた。そう、彼女と一緒にである。
昔のデートコースと一緒だった。8年ぶりに彼女と行く鎌倉は殆ど変わっていない様な気がした。寺に入ることはなかったが、日蓮大聖人ゆかりのお寺の近くでは大聖人の生涯を語ったりもし、彼女は真剣に聞いてくれていた。由比ガ浜に出て夕暮れの海を眺め、江ノ電に乗って稲村ガ崎にある海の見えるレストランでゆっくりと食事をした。何かの話の折に彼女はこう言った。

「これは本当に本当にホントだからね・・・・・・○○君(僕)は・・・今まで付き合った人の中で一番楽しくて・・・一番充実していた時間だったの」

8年間僕の心の底辺でくすぶっていものが一瞬にして流れて行った。選挙で勇気を持って電話をしたことがきっかけで何かが動き始めたのだ。断言する。僕はもうBを恨んでいない。しかし、こうして彼女と再び鎌倉を訪れるという行為そのものが彼に対する僕なりの答えであり、僕の僕自身に対する答えなのだ。僕にとってはそれをすることが必要だったのだ。いや、しなければ解決出来なかったのかもしれない。


彼女を自宅まで送り、別れ際に気付くと僕らは静かに抱き合っていた。お互いの懐かしい温もりと感触と香りを感じとった。でも僕らにははっきりと分かっていた。もう何も始まらないことを・・・もう何も起きないことを・・・そして・・・その日を最後にもう二度と二人で鎌倉に行く事がないことさえも。
そう、お互いの人生はお互いが思っている以上に前へ前へ進にんでいるのだ。8年という長い歳月は二人をあまりに遥か遠くに運び去ってしまっていた。

まるで二度と交わることのない二つの線路の様に。
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かいつぶり

Author:かいつぶり
職業 マスコミ

趣味 読書、楽器、小説を書く、料理、音楽

好きな食べ物・・・スイーツと酸味の少ないコーヒー、美味しいフランス料理と美味しいワイン。それさえあれば至福の時

好きな音楽 70年代のソウルミュージック。80年代前半の西海岸サウンド。あとジャズや、山下達郎周辺

好きな作家 ドストエフスキー、カポーティ、アーヴィング、ヴォネガット 

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