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まずは環境を変える。


 前回の記事とそのコメント欄とリンクしている話である。

 数年前のことである。ある本部職員のB君が昼休みにテレビを見ていた。ある皇室の女性が長い間病気で、地方の○○にある保養所(静養所?)に行って病気を治す、というものだった。本来いるべきの東京の中心にある○○ではままならないので、その保養所に行って環境を変えて治療を開始した、というニュースだった。
B君はテレビを見ながらブチブチと文句を一人で言う。

環境を変えればいいってものじゃないんじゃない? 税金の無駄使いだよ、全く!」

それを後ろで見ていた(当時の)副会長がB君の頭をポカッと叩いて怒って言う。
「君は仏法を何も分かってないな」

仏法の言葉で「依正不二」と言う言葉がある。「正」とは生命それ自体。つまり自分自身であり、心である。「依」とは自分を取り巻く自然世界や環境。「依」と「正」は別々のように見えて実際は「不二」、切り離すことのできない存在であるということである。

しかし、『正法(心)・即・依法(環境)』ではないのだ。

『今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉る者の住処は山谷曠野皆寂光土なり』 (御義口伝)という御文がある。

この御文が時折、「今いる場所で勝て!」と解釈される。あるいは、仕事でも家庭でも組織でも辛く大変な状況でも辛抱して耐えろ! という趣旨に恣意的に利用されてしまう。間違いである。


B君はニュースを見て、皇室のその女性が病気を治すために、治すという心の一念から逃げて環境を変えて治そうとした、と解釈して怒る。しかし副会長は言う。
「まずはとりあえず環境を変えてみるのも大事なんだよ」

 例えば、男子部だったら仕事が酷く辛い、人間関係に苦しんでいる。そういう時に「これは君が成長するために必要な環境なんだよ。 “今いる場所で勝とう”」と指導をする。あるいは、「今の環境は全部自分が作り出したものなんだよ」と諌めて終わりではいけない。
それが最終的には、安に転職してはならない、という形骸化された指導になる。何がなんでも今いる場所にしがみついていけ!と、大聖人はそんな鬼の様な厳しい方ではない。

離婚した方が幸せになる人もいる。会社を辞めた(転職した)方が幸せになる人もいる。
『南無妙法蓮華経と唱へ奉る者の住処は山谷曠野皆寂光土なり』とは、題目を上げて自分で決めた想い(決断)と環境を変えてみた自分をトータルとして「依正不二」の「正」なのだ。それが離婚や転職や引越しという決断と行動(環境の変化)であってもだ。

「心が変われば環境も変わる」と「環境が変われば心も変わる」・・・だいたい重要度は7:3位ですかね? とB君は最近言う。
間違えてはいけないのは、逃げの心ではダメだし、題目無しの短絡的な環境の変化では絶対にいけない。題目を上げ、自身の成長と幸福の為にまずは環境を変えるのが大事だと思ったら環境を変えてみなければいけない。それ(環境)によって自身(心)が変わった例は幾らでもあるし、誰も否定しないだろう。

 
「ただですね・・・」とB君は言う。
環境をまずは変えてみよう・・そういう指導を新聞なり何かで活字にするには非常に危険が伴う訳です。個々に拡大解釈されて、あちこちで会社をすぐに辞めてしまったり、こんな生活嫌だと離婚したり、こんな組織は嫌だ、と引越されたら問題ですから・・・その指導通りにやって後でおかしくなって『どうしてくれるんだ』と文句があって組織が責任を取らなくてはならない問題になりかねませんので」

「依正不二」は単に「正」→「依」ではなく、「不二」なので相互に作用しているのである。


 前記事の中で幹部のA君が会合の大幅の削減を英断した。
まずは(活動のあり方と会合の削減という)「依」、つまり環境を先に変えてみる、という所から会員の「正」(心)を変えよう、という方法を取ったのも間違いではない。

組織や幹部や闘い方に疑問を持った場合に、それも全て信心で捉えて耐え忍んでいくよりも、環境を変えようと題目を唱えた上で会員が幹部なり組織に対してしっかりとした改善策を訴えていくのは実は大切なのである。
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かいつぶり

Author:かいつぶり
職業 マスコミ

趣味 読書、楽器、小説を書く、料理、音楽

好きな食べ物・・・スイーツと酸味の少ないコーヒー、美味しいフランス料理と美味しいワイン。それさえあれば至福の時

好きな音楽 70年代のソウルミュージック。80年代前半の西海岸サウンド。あとジャズや、山下達郎周辺

好きな作家 ドストエフスキー、カポーティ、アーヴィング、ヴォネガット 

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